- アニサキスとは
- アニサキスの症状
- アニサキス症の原因
- アニサキスが多い魚介類—
食中毒予防のために
冷凍・解凍 - アニサキスを
食べてしまったらどうなる?
加熱後は? - アニサキス症の検査
- アニサキス症の治療
アニサキスとは
アニサキスとは、寄生虫の一種です。体長1~2センチほどの幼虫は、サバ・アジ・イワシ・イカといった魚介類を十分な加熱・冷凍処理なしで食べることでヒトの胃などにも感染します(胃アニサキス症)。
食後数時間以内に激しい胃の痛み、吐き気、嘔吐などの症状が現れたときには、胃アニサキス症を疑いましょう。この場合は、胃内視鏡を用いてアニサキスを除去すれば、症状が治まります。 なお、アニサキスが体内に入ったからといって、必ず発症するものではありません。アニサキスはヒトの体内では1週間ほどしか生きられず、無症状のまま死滅することもあるのです。
アニサキス症の症状
- 激しい腹痛
- 吐き気、嘔吐
- 腹部の強い張り
いつからいつまで痛みがある?
胃アニサキス症は、十分な加熱・冷凍処理なしでサバやアジ、イワシ、イカなどの魚介類を食べた後、数時間以内に発症します。
その後3~4日ほどでアニサキスが弱ることで症状も軽減します。
また1週間が経過する頃にはアニサキスが死滅するため、症状はさらに軽くなり、消失します。
アニサキス症の原因
アニサキスがもたらす痛みや吐き気、嘔吐といった症状は、アニサキスが粘膜に噛みつくことではなく、アニサキスが出す物質に対するアレルギー反応によるものだと考えられています。
アニサキス症は、アニサキスが感染する場所によって、以下のように分類されます。
胃アニサキス症
アニサキスが胃に感染した状態です。アニサキス症の中ではもっとも頻度が高くなります(90%以上)。
通常は、食後数時間以内に発症します。
腸アニサキス症
アニサキスが小腸や大腸に感染した状態です。腸閉塞、腸重積を起こすこともあります。
通常は、食後数時間から数日後に発症します。
消化管外アニサキス症
アニサキスが消化管を突き破り、腹腔内に感染した状態です。 寄生した場所によって、症状も異なります。
アニサキスアレルギー
アニサキスに対するアナフィラキシーとして、じんましん、低血圧、呼吸不全、意識消失などの症状が出現します。青魚アレルギーだと勘違いされているケースも少なくないようです。
アニサキスが多い魚介類—
食中毒予防のために
冷凍・解凍
アニサキスが多い魚介類
- サバ
- アジ
- イワシ
- カツオ
- イカ
- サケ
- サンマ
など
食中毒の予防方法
適切な加熱・冷凍処理
「60℃で1分以上の加熱」、「マイナス20℃で24時間以上の冷凍」によってアニサキスは死滅します。
冷凍せず生で食べる場合
先にご紹介した適切な加熱・冷凍処理を行わずに生で食べる場合には、以下の点にお気をつけください。
- 魚介類は新鮮なものを選び、購入後は速やかに内臓を取り除くことが大切です(内臓と一緒にアニサキスを取り除ける可能性が高くなります)。またあわせて、内臓を生で食べないようにしてください。
- 酢漬け(シメサバ、マリネ等)、塩漬け、醤油・ワサビなどで死滅することはありません。
アニサキスを
食べてしまったらどうなる?
加熱後は?
サンマを食べて30分くらいして、強い腹痛に襲われています。吐き気もあります。どうすればいいですか?
胃アニサキス症が疑われます。すぐに内視鏡によるアニサキスの摘出に対応しているクリニック、病院を受診してください。
アニサキス症のような症状が現れましたが、治まりました。アニサキス症が再発するということはありますか?
アニサキスはヒトの体内では1週間ほどしか生きられず、症状が改善したのであれば、死滅したと考えられます。再びアニサキスを口にしない限り、アニサキス症を再発するという可能性はありません。 しかしアニサキス以外の疾患である可能性も残ります。少しでも気になる症状があるという場合には、念のため胃カメラ検査に対応したクリニックを受診することをおすすめします。
それほど強くない腹痛が、5日以上続いています。アニサキス症の可能性はありますか?
アニサキスは、ヒトの体内では数日もすれば活動が低下し、1週間後には死滅します。そのため、強くないとはいえ腹痛が5日続いているようでしたら、アニサキス症ではなく、胃炎などの他の疾患が疑われます(アニサキス症は、日常生活に支障をきたすくらいの激しい腹痛が特徴です)。 可能性としては低いものの、胃がんの症状として腹痛が現れることもありますので、胃内視鏡検査に対応した医療機関を受診するようにしてください。
アニサキス症の検査
内視鏡検査
アニサキスが胃にいると考えられる(胃アニサキス症)場合には、胃カメラ検査が有効です。 頻度は低いものの、腸アニサキス症が疑われる場合には、大腸カメラ検査が有効です。 いずれの場合も、発見次第、その場で摘出します。
血清抗体検査
胃や大腸以外にアニサキスがいると考えられる場合に有効な検査です。 採血し、アニサキスに対する抗体の有無を調べます。
腹部超音波検査
小腸にアニサキスがいると考えられる場合に行う検査です。 小腸の壁の肥厚の有無などを確認します。
アニサキス症の治療
胃アニサキス症
胃カメラ検査でアニサキスを発見したら、内視鏡の先端から鉗子を出し、摘出します。痛みが速やかに消失します。
腸アニサキス症
大腸カメラ検査でアニサキスを発見したら、胃アニサキス症の場合と同様、内視鏡から鉗子を出して摘出します。
アニサキスアレルギー
軽症の場合には抗ヒスタミン薬などの抗アレルギー薬を、重症の場合にはステロイドを使用します。