便潜血(べんせんけつ)検査で陽性が出たら
便潜血検査とは何がわかる検査?
便潜血検査とは、便中に血液が混じっているかどうかを調べる検査です。スティックで便を採取するという簡単な方法であるため、大腸がん検診などにおいて広く普及しています。
一般的には「2日法」という方法が採用されており、2日分の便を採取し、医療機関に提出して便潜血の有無を調べてもらいます。
便潜血の「陽性」が示すものとは
便潜血検査で「陽性」であった場合には、便中に血液が混じっていたということです。
大腸ポリープ、大腸がん、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)、痔などの可能性があります。
便潜血の原因
便潜血(便潜血検査で陽性)の原因となる疾患には、以下のようなものがあります。
いぼ痔(痔核)
肛門の内側にできる内痔核、または肛門の外側にできる外痔核として発症します。
排便の時のいきみ過ぎ、デスクワーク、下痢・便秘による刺激などを主な原因とします。
出血の特徴
部位的に出血してからすぐに便と混じるため、血液は鮮やかな色をしています。 ときに大量となり、便器が真っ赤に染まることもあります。
切れ痔(裂肛)
排便の時のいきみ過ぎ、硬い便・下痢を勢いよく排泄したときの刺激などによって発症します。
出血の特徴
いぼ痔と同様に、鮮やかな色の血液として認められます。ただし、大量に出血することは基本的にありません。トイレットペーパーに擦れたように血液が付着する程度のこともあります。
大腸がん・大腸ポリープ
がんやポリープと便が擦れるときに出血します。
出血の特徴
出血してから少し時間が経ってからの排便となるため、暗赤色であることが多くなります。
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)
はっきりとした原因の分かっていない難病です。潰瘍性大腸炎の場合は大腸から、クローン病の場合は主に大腸または小腸から出血することがあります。
出血の特徴
炎症部から出血し、やや時間が経ってからの排便であるため、暗赤色が認められることが多くなります。
便潜血陽性のとき
大腸癌である確率は?
便潜血検査で陽性であった場合、その原因のほとんどをいぼ痔・切れ痔が占めます。
大腸がんが見つかる確率は3~4%、大腸ポリープが見つかる確率は30~40%と言われています。なお、大腸ポリープの中には将来的にがん化するものも存在します。
陽性であった場合には、必ず精密検査として、大腸カメラ検査を受けましょう。
「便潜血陽性」が出たあとに必要な検査
便潜血検査で陽性であったなら、その後に必要になる検査としては大腸カメラ検査が第一候補となります。
肛門からバリウムを注入して行うX線検査、CT検査などもありますが、いずれの場合も確定診断のためには大腸カメラ検査が追加で必要になります。 便潜血検査で陽性であった場合、より確実な精密検査として、最初から大腸カメラ検査を受けることをおすすめします。
よくあるご質問
便潜血検査で1回だけ陽性だったので放置してもいいですか?
便潜血検査では一般的に、2日分の便を採取して提出します(2日法)。
このうちいずれかでも陽性判定が出た場合には、必ず精密検査を受けてください。便には血液が混じらないのが正常であり、1回でも、そのときだけでも血液が混じっていれば、それは何らかの異常を意味します。
大腸がんをはじめとする疾患の早期発見・早期治療へとつなげましょう。
便潜血は、血便や下血と違いますか?
便潜血は、目で見えないくらいの微量の血液が便に混じっていることを指します。
一方で血便は、排便した直後の便を目で見て血液が認められることを指します。
また下血とは、食道・胃・十二指腸といった上部消化管からの出血が便に混じっているということです。排泄までに時間がかかることから、一般に黒い便(タール便)として認められます。
便潜血陽性の原因が痔の場合はありますか?
便潜血検査で陽性であった場合、その原因の多くをいぼ痔・切れ痔が占めます。
ですので、陽性判定を受けて「がんだったらどうしよう」と過度に心配する必要はありません。ただし、がんでないことを確認するためにも、やはり精密検査として大腸カメラ検査が必要になります。
「いぼ痔・切れ痔だから放っておこう」という判断は厳禁です。もちろん、いぼ痔・切れ痔であっても治療が必要になります。
ストレスで便潜血陽性になることはありますか?
ストレスが単体で出血(便潜血陽性)の原因になることはありません。
ただし、ストレスを要因の1つとして胃がん、炎症性腸疾患、虚血性大腸炎などを引き起こし、便潜血検査で陽性判定が出ることはあります。
つまり、「ストレスをしっかり解消すれば大丈夫」ということはありません。便潜血検査で陽性判定が出たときには、精密検査として必ず大腸カメラ検査を受けましょう。
便潜血検査は2回受ける方がいいのですか?
大腸がんなども病気があっても、その日の状態などにより陽性判定が出ないということがあります。そのため、1回よりも2回受けた方が、より正確は診断へとつながります。
なお、進行性大腸がんの場合、1回目で60%、2回目で90%が診断できると言われています。大腸がん検診では、一般的に2回行います(2日法)。