下腹部が痛む原因は便秘?それとも病気?
下腹部の痛みは大きなストレスとなり、仕事や学業にも影響が出ます。
比較的身近な症状ではありますが、疾患を原因としているケースも少なくありません。特に痛みがひどい、何日も続く、他にも症状があるといったときには、お早目に当院にご相談ください。
便秘
便秘と下腹部痛は、しばしば合併します。食事や生活習慣を原因とするものもあれば、疾患を原因とするものもあります。
特に便秘が続いている、排便してもすっきりしない、血便があるといったときには注意が必要です。
消化器系の病気
感染性腸炎
ウイルスや細菌への感染を原因として発症します。
激しい下痢、腹痛、発熱、吐き気・嘔吐などの症状を伴います。
腹痛は通常、下腹部全体に現れます。
過敏性腸症候群
ストレスなどによる自律神経の乱れ、免疫異常などが影響していると思われる病気です。大腸カメラ検査などの検査では、異常が見つかりません。
腹痛、便秘、下痢、おならなどの不快な症状が続きます。腹痛は、下腹部全体に現れることが多くなります。
大腸憩室炎
大腸の壁の一部が、外側へとせり出した憩室をつくり、そこに便が溜まるなどして炎症を起こす病気です。
右下腹部痛、発熱、血便などの症状が見られます。
虫垂炎
盲腸の端の虫垂で炎症を起こす病気です。一般に「盲腸」とも呼ばれます。
初めはみぞおちに、その後徐々に右下腹部へと痛みが移動していく特徴を持ちます。その他、吐き気、食欲不振といった症状も伴います。
虚血性大腸炎
動脈硬化、腸管内圧の上昇などを原因として、大腸粘膜の血流が低下し炎症を起こす病気です。
突然の腹痛(主に左下腹部)に続き、下痢、また場合によっては血便が認められます。
大腸がん
初期には症状が乏しいものの、進行すると腹痛、腹部膨満感、血便、便が細くなる、下痢と便秘を繰り返すといった症状が現れます。
痛みは、S状結腸のある右下腹部に現れることが多くなります。
尿路系の病気
膀胱炎
細菌感染によって起こる膀胱の炎症です。
下腹部全体の痛み、排尿時の痛み、頻尿、血尿などの症状が見られます。
尿路結石
尿路に結石が詰まることで炎症を起こし、下腹部全体に強烈な痛みを伴います。また痛みに付随し、冷や汗、吐き気・嘔吐などの症状も見られます。
腎盂腎炎
主に膀胱炎を起こしたあとなどに、炎症が腎盂へと波及することで発症します。
急性腎盂腎炎の場合には、下腹部全体の痛み、高熱、悪寒、腰痛、血尿などが見られます。一方で慢性腎盂腎炎は症状が乏しく、稀に食欲不振や倦怠感が見られる程度となります。ただし、放置していると腎不全へと進行します。
【男性特有】下腹部が痛む原因
男性特有の下腹部の痛みとしては、前立腺炎や精巣上体炎、前立腺炎によるものが挙げられます。
ご高齢の方は前立腺肥大や膀胱結石をもともと持っていることが多く、その場合は感染のリスクが高くなります。
【女性特有】下腹部が痛む原因
女性の場合は、月経の痛みに加え、子宮内膜症や子宮筋腫、子宮がん、卵巣がん、異所性妊娠、卵巣茎捻転、卵巣出血、骨盤腹膜炎などが原因になることがあります。
病院を受診する症状の目安
受診を急ぐ下腹部痛
- 眠れないほどの痛みがある
- 痛みで夜中に何度も目が覚める
- 特定の部位を押すと痛みが増す
- 歩く程度の振動が響き痛みが増す
- 血便・下血がある
- 嘔吐を伴う腹痛
受診が好ましい下腹部痛
- 痛みが数日以上続いている
- 痛みが引くが、繰り返される
- 発熱や嘔吐(繰り返さない)がある
- 便秘と下痢が交互に現れる