睡眠薬は市販で手に入る?睡眠薬の種類と使ってみた人の体験談

2025.01.21

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不眠で悩んでいる人にとって、市販の睡眠薬(睡眠改善薬)は手軽に試せる解決策のひとつです。薬局やドラッグストアで購入できる睡眠薬には多くの種類があり、それぞれに特徴や効果が異なります。市販で購入できるのはあくまでも睡眠をサポートする睡眠改善薬であり、睡眠薬とは違うものです。

一方、病院やクリニックで処方してもらう睡眠薬は、市販薬よりも効果が高いです。睡眠薬を処方してもらいたいが医者に行く時間がない、通院していることを知られたくないという人は、オンラインクリニックを利用しましょう。

市販で購入できる睡眠薬(睡眠改善薬)は、適切に選ばなければ効果が薄いどころか、副作用や依存症のリスクも考えられます。

そこで今回は、市販睡眠薬の基本的な情報から、選び方やおすすめ商品などをご紹介するとともに、病院で処方される睡眠薬との違いについても解説します。

どのような薬であっても、正しく使ってこそ効果を発揮できるものです。自分にあった薬を見つけるための参考にしてください。

市販で探す前に知っておくべき、処方薬と市販薬の違い

市販薬と処方薬の違いは、成分の強さ、用途、安全性や副作用にあります。それぞれの特徴を以下でまとめました。

スクロールできます 👉
区分 処方薬 市販薬
対象となる症状 慢性的な不眠症など、重度の不眠にも対応できる 一時的な不眠症が対象
効果の強さ ・医師が患者の症状に合わせて処方するため、即効性や効果の持続時間が強力
 
・深刻な不眠症や睡眠障害にも対応できる
例:
ベンゾジアゼピン系(ハルシオン、レンドルミン)
非ベンゾジアゼピン系(マイスリー、ルネスタ)
・軽度の不眠症状に対応。効果はマイルドで、安全性が優先されている
 
・生活習慣やストレスによる一時的な不眠に適している
安全性・
副作用
・医師の監督下で使用するため、副作用や依存性のリスクがある
 
・眠気以外に筋弛緩や記憶障害などの副作用が出る場合もある
 
・長期間の使用は依存症や耐性のリスクが高い
・成分が弱いため、依存性や副作用のリスクは低い
(ただし、抗ヒスタミン系成分は翌朝に眠気が残ることがある)
 
・自己判断で使用するため、使用法を誤ると効果が薄れる
種類 症状に合わせて多種多様 種類が限られる
入手の
しやすさ
医師の診断が必要。保険が適用されるためコストが抑えられる場合が多い ドラッグストアやオンラインで購入可能。すぐに入手できるが、価格は保険適用外で自己負担
使用期間 ・慢性的な不眠や、特定の病気に伴う睡眠障害にも使用可能
 
・医師が使用期間や量を調整する
一時的な不眠への対処が目的なので連続使用は推奨されていない

処方薬は、個人の症状や体質に合わせて医師が最適な薬を処方するため、市販薬よりも効果が高いケースが多いです。しかし、副作用が出やすいというデメリットもあります。

一方、市販薬は手軽に入手できる反面、効果が限定的で、長期的な服用には向きません。

睡眠薬の市販薬と処方薬の違い

市販の睡眠薬はあくまでも一時的な不眠に対する対症療法です。根本的な解決はできないため、慢性的な不眠の場合は専門医に相談しましょう。

病院で処方される睡眠薬は一般的に保険適用される

医療機関で処方される睡眠薬は、ほとんどの場合、健康保険が適用されます。保険適用時は、薬の価格が1錠あたり10円~100円程度と非常に安価で、定期的に使用しても経済的負担は少ないです。

ただし、次の場合は保険適用外となる可能性があります。

  • 医師の判断で必要と認められない場合:特に軽い不眠の場合や、患者が睡眠薬を希望しすぎる場合
  • 美容目的やパフォーマンス向上目的での使用:例・寝不足を補う目的での使用

保険が適用されるのは、不眠症の治療に限られることを覚えておきましょう。

病院で処方される睡眠薬は保険適用対象

オンラインクリニックなら睡眠薬を処方してもらうこともできる

睡眠薬を処方してもらうなら、医療機関で医師の診察を受けなくてはなりません。しかし、医者に行く時間がない、通院していることを知られたくないという人は、オンラインクリニックを利用しましょう。

専門のオンラインクリニックなら、通院することなくスマホ1台で睡眠薬を手に入れることができます。

睡眠薬は市販されているか?睡眠改善薬なら購入可能

睡眠薬は市販されていませんが、睡眠改善薬なら市販されています。医師の処方箋がなくても薬局等で購入は可能です。

市販されている睡眠薬に期待できる効果

市販されている睡眠薬は、正確にいうと「睡眠改善薬」であり、睡眠薬ではありません(便宜上、ここでは「睡眠薬」と表記します」)。

医療機関で処方される睡眠薬とは異なり、効果がマイルドで、一時的な不眠や軽い睡眠トラブルの改善を目的としています。以下のような効果が期待できます。

1. 入眠をサポートする効果
市販睡眠薬は、主に入眠を助けることを目的としています。
布団に入っても眠れない、寝付きが悪いといった一時的な不眠症状を和らげます。ハーブや生薬を配合し、リラックス効果や眠気を誘発する作用がある商品もあります。

2. 睡眠の質を改善する効果
一部の市販薬には、眠りが浅い場合や途中で目が覚める場合に、睡眠を安定させる効果が期待できます。ただし、効果は限定的で、慢性的な睡眠障害には向きません。

3. 短期間の不眠対策
市販薬は、以下のような一時的な原因による不眠に適しています。

  • ストレス:仕事や試験などで緊張して眠れない
  • 環境の変化:旅行中や引っ越し後の新しい環境での不眠
  • 体調の変化:時差ボケや風邪などによる一時的な不眠

市販薬の効果のポイントは、「一時的な不眠の改善」ということです。長期間の使用に向かないため、効果が感じられない場合は、医師に相談が必要です。

重度の不眠症や睡眠障害の根本的な治療には適していません。

市販されている睡眠薬の種類

市販の睡眠薬は、主に第2類医薬品に分類されます。

分類 特徴
第1類医薬品 もっともリスクの高い医薬品で薬剤師による情報提供が義務付けられている(H2ブロッカー配合の胃腸薬、毛髪用発毛剤など)
第2類医薬品 薬剤師などの専門家の相談を受けて購入できる医薬品で、一般用医薬品の中では効果が強く、副作用が出やすいものも含まれる(解熱鎮痛薬、下痢止め、睡眠改善薬など)
第3類医薬品 ドラッグストアなどで手軽に購入できる医薬品で、比較的安全性の高いものが多く、効果も穏やか(タミン剤、整腸薬など)

市販の睡眠薬には、大きく分けて以下の種類があります。それぞれの特徴と効果を理解して、自分の症状に合ったものを選びましょう。

1. 抗ヒスタミン系睡眠薬
抗ヒスタミン薬は、アレルギーや花粉症の治療に使われる成分ですが、副作用として眠気を引き起こす作用があります。この作用を利用して不眠対策に使用されています。

  • 主な商品例: ドリエル、アレグラナイト
  • 特徴: 比較的強い眠気を誘う作用がある
  • 用途: 一時的な不眠やストレスなどによる入眠困難に適している

2. 漢方薬
漢方薬は、体全体のバランスを整えながら睡眠を改善します。自然由来の成分が多いため、副作用が比較的少ないとされます。

  • 主な商品例: 加味帰脾湯、柴胡加竜骨牡蛎湯
  • 特徴: 不安やストレスによる不眠に効果的
  • 用途: 心身のリラックスを目的とする場合

漢方薬について、後ほど詳しく説明します。

市販の睡眠薬に入っている有効成分

市販の睡眠薬には、以下のような成分がよく使われています。

  • ジフェンヒドラミン塩酸塩:最も一般的な成分で抗ヒスタミン薬の一種。中枢神経に作用して眠気を誘う
  • ドキシラミンコハク酸塩:ジフェンヒドラミンと同じ抗ヒスタミン系で眠気を促す作用がある
  • L-テアニン:リラックス効果がある、緑茶に含まれる成分
  • カノコソウ末(バレリアン根):リラックス効果があり自然な眠気を促進する
  • チャボトケイソウ(パッションフラワー):穏やかな鎮静作用があり不安を和らげる
  • ホップ花エキス:リラックス効果があり睡眠の質を改善する
  • ガンマ-オリザノール:自律神経を整える

最も多く使われているのは抗ヒスタミン薬の一種であるジフェンヒドラミン塩酸塩です。この成分は、アレルギー症状を抑える作用があり、副作用として眠気を引き起こすため、睡眠薬に利用されています。

効果は穏やかで、副作用も比較的少ない成分です。

ハーブや生薬の成分は、サプリメントなどによく使われています。

睡眠薬の市販薬のおすすめ7選

市販されている睡眠改善薬で代表的なものをご紹介します。特徴などを一覧でまとめました。

商品名 ドリエル ドリエルEX リポスミン ハイヤスミンA ネオデイ アロパノール アンミナイト
主成分 ジフェンヒドラミン塩酸塩 ジフェンヒドラミン塩酸塩 ジフェンヒドラミン塩酸塩 ジフェンヒドラミン塩酸塩 ジフェンヒドラミン塩酸塩 抑肝散 ジフェンヒドラミン塩酸塩
特徴 抗ヒスタミン作用で眠気を促す。アレルギー薬の成分を活用した睡眠改善薬 ドリエルの強化版。成分量が多く、短期間での効果を重視 ドリエルと同成分ながら低価格。眠りにくい夜の一時的なサポートに特化 ドリエル・リポスミンと同成分。価格帯や販売元が異なるが、効果はほぼ同様 ドリエルと同成分ながら、低価格 生薬由来成分。睡眠改善とリラクゼーションを重視したサプリメントタイプ ドリンクタイプで錠剤が苦手な人でも飲みやすい
形状 白色コーティング錠 淡黄褐色軟カプセル剤 フィルムコーティング錠 錠剤 錠剤 フィルムコーティング錠 ドリンクタイプ
用法・用量 1日1回2錠 1日1回1カプセル 1日1回2錠 1日1回2錠 1日1回2錠 1日1回3錠 1日1瓶
販売元 エスエス製薬 エスエス製薬 皇漢堂製薬 福地製薬(株) 大正製薬 全薬工業 ゼリア新薬工業
小売価格 税込1,100円 (6錠入り/3日分) 税込2,420円 (6カプセル/6日分) 税込424円〜 (12錠入り) 税込300〜1,200円 税込600円〜 (6錠) 税込1,320円(18錠) 税込367円〜(1瓶)

それぞれ、同じような錠剤に見えても大きさが微妙に違います。大きい錠剤が苦手な人は、小さめのものやドリンクタイプを選ぶと良いでしょう。

ドリエルはよく使われている睡眠改善薬ですが、同様の成分が含まれていて、ドリエルよりも価格が安い商品もあります。

どちらが良いかは個人差がありますが、まずは低価格のものから試してみるのも良いかもしれません。

睡眠薬の市販薬の選び方

市販の睡眠薬は、一時的な不眠の改善に役立つものの、不眠の原因や症状に合わない薬を選んでしまうと、効果が得られないばかりか、副作用や翌朝のだるさを引き起こす可能性があります。

そのため、自分の不眠の原因や症状に応じて適切な市販薬を選ぶことが非常に重要です。

自分の不眠の原因を知ることが何より大事!

不眠症にはさまざまな原因があり、それを正しく理解することで適切な市販薬や対策を選ぶことができます。

1.ストレスや不安による不眠
ストレスや精神的な緊張が原因の場合、心身をリラックスさせる作用のある薬や漢方、サプリメントがおすすめです。ストレスを軽減するためのリラクゼーション法や生活習慣の改善も効果的です。
症状例:頭の中が忙しくて考えが止まらない、布団に入っても緊張して眠れないなど

2.生活習慣や環境の変化による不眠
不規則な生活リズムや、環境の変化が原因の場合は、眠りを促進する軽めの抗ヒスタミン系睡眠薬(ドリエルなど)や、睡眠リズムを整える補助成分が有効です。
症状例:旅行先で眠れない、夜更かしが続いて寝付きが悪いなど

3.身体的な要因による不眠
痛みや痒み、アレルギー症状が原因で眠れない場合は、原因となる症状を緩和する薬が必要です。
症状例:風邪で鼻詰まりがひどい、アレルギーでかゆみがあるなど

4.加齢やホルモンバランスの乱れによる不眠
加齢や更年期によるホルモンバランスの変化で眠りが浅くなる場合は、体全体のバランスを整える薬やサプリが効果的です。
症状例:眠りが浅い、夜中に何度も目が覚めるなど

5.睡眠リズムの乱れ(時差ボケなど)
体内時計の乱れが原因の場合は、メラトニン補充や、リズムを整える作用のあるサプリメントなどが適しています。
症状例:海外旅行で時差ボケがつらい、夜型の生活が続いているなど

症状別おすすめの市販睡眠薬の選択肢

症状に合わせた市販薬の選び方を解説します。

1. 寝付きが悪い(入眠困難)
特徴:ベッドに入ってもなかなか眠れない。思考が止まらず、寝付きに時間がかかる。
おすすめ成分:抗ヒスタミン系(ドリエルなど)、ハーブ成分(バレリアン、カモミール)。

2. 眠りが浅い、途中で目が覚める
特徴:夜中に何度も目が覚めたり、夢ばかり見て熟睡感が得られない
おすすめ成分:漢方薬(加味帰脾湯、柴胡加竜骨牡蛎湯)、ハーブ系(セントジョーンズワート)

3. ストレスや不安感で眠れない
特徴:緊張や考えすぎで体がリラックスできず、眠りにつけない
おすすめ成分:漢方薬(加味帰脾湯、抑肝散)、リラックス系ハーブ(バレリアン、ラベンダー)

成分ごとの特徴と効果の違い

ここからは、睡眠改善薬に使われている成分の特徴について説明します。メリット、デメリットなどについて、一覧でまとめました。

特徴 抗ヒスタミン成分 漢方薬 ハーブ系成分
代表成分 ジフェンヒドラミン塩酸塩 加味帰脾湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、抑肝散 バレリアン、カモミール、ラベンダー
効果 ヒスタミン受容体をブロックすることで、眠気を誘発。強い眠気を感じる。 不安感や緊張を和らげ、自然な眠りをサポート。体質改善も期待できる 鎮静作用やリラックス効果で、ストレスを軽減し眠りやすい状態を作る
メリット 比較的即効性がある 副作用が少なく、長期間の使用に適している 自然由来で安全性が高い
デメリット 翌朝に眠気が残る可能性がある 効果が出るまでに時間がかかる 効果が穏やかで即効性は低い
商品例 ドリエル、ドリエルEX ツムラの加味帰脾湯、抑肝散 グッドナイト27000(バレリアン配合)

同じように見えても、使われている成分によって働きは違うため、薬剤師の説明を聞いて、自分にあったものを選ぶことが大切です。

市販の睡眠薬を使用するときの注意

市販の睡眠薬は、不眠症状を一時的に改善するためのサポートとして役立ちますが、正しい使い方をしないと副作用や健康リスクが生じる可能性があります。使用の際は以下の点に注意してください。

服用タイミングと用量を守ること

市販の睡眠薬は、就寝の30分~1時間前に服用するのが一般的です。薬が効果を発揮するまでに、このくらいの時間がかかるためです。

抗ヒスタミン系の睡眠薬は、30分ほどで眠気を誘発します。ハーブ系サプリメントや漢方薬は即効性が低く、数日~数週間の継続的な使用で効果を感じる場合があります。

服用の際は、必ず製品の添付文書に記載された用法・用量を守りましょう。過剰摂取すると、副作用(強い眠気や翌朝の倦怠感)が出る可能性があります。

服用後にリラックスできる環境を整え、光や音の刺激を減らすことが、より効果的な睡眠を促します。

連続して使用しないこと

市販の睡眠薬は短期間の一時的な使用を目的としています。

長期間使用すると、薬への耐性がつき、効果が薄れることがあります。また、薬がないと眠れないと感じる心理的依存が生じる可能性もありますので、連続使用は避けます。

通常、連続使用は2~3日程度にとどめ、それでも改善しない場合は医師に相談してください。

他の薬との飲み合わせに注意

市販の睡眠薬を他の薬と併用する場合、成分の相互作用による健康リスクがあります。特に注意が必要なのは以下の薬です。

  • 抗アレルギー薬:抗ヒスタミン成分が重複し、過度な眠気や副作用を引き起こす可能性がある
  • 抗うつ薬や精神安定剤:睡眠薬との併用で、中枢神経が過剰に抑制されるリスクがある
  • 鎮痛剤や風邪薬:これらにも眠気を誘発する成分が含まれる場合があり、作用が強くなりすぎることがある

お酒と一緒に飲まないこと

睡眠薬とアルコールを同時に摂取すると、アルコールが薬の作用を強め、過度の眠気や意識障害を引き起こす場合があります。

また、アルコールと薬の相乗効果で、翌朝までだるさや集中力低下が残ることがありますので、睡眠薬を服用する場合は、必ずアルコールを控えましょう。

服用後の運転は避けること

市販の睡眠薬を服用した後は、眠気や集中力の低下が現れるため、車の運転や機械の操作を行うのは非常に危険です。

薬が体内で代謝されるまで、通常4~8時間ほどかかります。この間、反応速度が遅れる可能性があります。

抗ヒスタミン系の睡眠薬の場合、翌朝になっても眠気が残ることがあるため、特に注意が必要です。服用後は必ず十分な睡眠時間を確保し、完全に薬の効果が抜けるまで運転は避けましょう。

妊娠中・授乳中の使用は安全?

一般的に妊娠中の市販薬の使用は推奨されません。特に初期の妊娠(妊娠12週まで)は胎児への影響が大きいため、医師に相談する必要があります。

一部の漢方薬やハーブ系サプリメントは、妊婦でも使用できる場合がありますが、必ず主治医の指導を仰ぎましょう。

授乳中も注意です。睡眠薬の成分が母乳を通じて赤ちゃんに影響を与える可能性があります。特に、抗ヒスタミン成分などは、赤ちゃんに眠気や刺激過多を引き起こすことがあります。

授乳中に睡眠薬を使用する場合は、医師に相談の上、薬の効果が薄れる時間を考慮するなど、適切なタイミングで授乳を調整してください。

市販薬で効果を感じないなら医師に相談する

市販の睡眠薬を使用しても効果がない場合、不眠の原因が市販薬では改善できない可能性があります。

  • 睡眠薬を服用しても効果が全く感じられない
  • 強い不安やうつ症状を伴っている
  • 不眠が1週間以上続いている
  • 身体的な原因(痛み、呼吸障害など)で眠れない

医師は、不眠の原因を特定し、適切な処方薬や治療法を提案してくれます。また、場合によっては睡眠障害専門の診療科を紹介されることもあります。

病院で処方される代表的な睡眠薬

病院で処方される睡眠薬にはどのようなものがあるのか、市販の睡眠改善役とは何が違うのか、具体的に解説します。

まずは、概要を一覧でまとめました。

薬品名 デエビゴ マイスリー ルネスタ デパス ハルシオン
主成分 レンボレキサント ゾルピデム酒石酸塩 エスゾピクロン エチゾラム トリアゾラム
分類 オレキシン受容体拮抗薬 非ベンゾジアゼピン系 非ベンゾジアゼピン系 ベンゾジアゼピン系 ベンゾジアゼピン系
特徴 レンボレキサントは、覚醒を司る脳内のオレキシンという物質の働きを抑えることで、自然な眠りを誘発する GABA受容体(抑制性神経伝達物質)の一部に選択的に作用し、脳を落ち着かせて自然な眠りを誘発する GABA受容体の特定部位に結合して脳の活動を抑え、自然な眠りを誘導する 脳内のGABA受容体に作用し、神経の興奮を抑えることで、抗不安作用や催眠作用を発揮する GABA(γ-アミノ酪酸)受容体に作用し、脳の過剰な興奮を抑えてリラックス状態を促進する
形状 錠剤
(2.5mg、5mg、10mg)
錠剤(5mg、10mg) 錠剤
(1mg、2mg,、3mg)
錠剤
(0.25mg、0.5mg,、1mg)
錠剤
(0.125mg、0.25mg)
用法・用量 1日1回 1日1回 1日1回 1日3回、用量は症状によって違う 1日1回

医療機関で処方される睡眠薬は主に4つの系統がある

病院で処方される睡眠薬は、大きく以下の4つの系統に分類されます。それぞれ特徴が違うため、患者の不眠の原因や状態に合わせて選ばれます。

メリットやデメリットを一覧でまとめました。

系統 特徴 メリット デメリット 代表的な薬
ベンゾジアゼピン系(BZD系) 中枢神経に働きかけて、睡眠や不安緩和を促す。比較的即効性がある 強い催眠効果が得られる 長期使用で依存性や耐性がつきやすい レンドルミン、ドラール、トリアゾラム(ハルシオン)、リスミー
非ベンゾジアゼピン系(非BZD系) ベンゾジアゼピン系と同じ受容体(GABA受容体)に作用するが、副作用が軽減されている 翌朝の眠気やだるさが少ない。依存性もベンゾジアゼピン系より低い 耐性がつく場合がある マイスリー、ルネスタ、アモバン、トラゾドン
オレキシン受容体拮抗薬 脳内の覚醒を司る「オレキシン」という神経伝達物質の働きを抑えることで、自然な眠りを誘う 生理的な睡眠に近く、依存性が少ない 比較的新しい薬で、長期的な安全性については研究が進行中 デエビゴ、ベルソムラ
メラトニン受容体作動薬 体内時計を調整するホルモン「メラトニン」に似た働きをすることで、眠気を誘発し、スムーズな入眠をサポートする 脳を鎮静させるのではなく生理的な睡眠リズムを改善するため、朝の目覚めがスッキリしやすい 効果が現れるまで時間がかかる場合がある ロゼレム

睡眠薬は作用時間の長さによる分類もある

睡眠薬の分類として、作用時間の長さもあります。寝つきをよくしたい人、朝までぐっすり眠りたい人など眠りを得たい時間によって、適した薬が違います。

作用時間の分類 半減期 対応する症状 代表的な薬
超短時間型 2~4時間程度 寝つきが悪い場合 マイスリー、ハルシオン、ルネスタ、アモバン
短時間型 6~12時間程度 寝つきが悪い場合だけでなく、中途覚醒にも効果が期待できる レンドルミン、デパス、エバミール、リスミー
中間型 12~24時間程度 寝つきから目覚めまでの全般に効果が期待できる ベンザリン、ユーロジン、サイレース
長時間型 24時間以上 中途覚醒や早朝覚醒に効果的 ドラール

デエビゴは新しいタイプの睡眠薬

従来の睡眠薬(ベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系)よりも依存性が低いとされています。そのため、長期的な使用が必要な場合や、高齢者への処方においても注目されています。

有効成分レンボレキサントは、覚醒を司る脳内のオレキシンという物質の働きを抑えることで、自然な眠りを誘発します。

従来のベンゾジアゼピン系睡眠薬とは異なり、鎮静や筋弛緩作用がなく、より生理的な睡眠を促すとされています。

翌朝の眠気や倦怠感が比較的少ないものの、人によっては効果が穏やかに感じられることがあります。

マイスリーは超短時間型の睡眠薬

マイスリーは非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬で、「超短時間作用型」に分類されます。服用後約15〜30分で効果を感じ始めるため、寝つきが悪い人に適しています。

効果は短時間で切れるため、翌朝まで薬の作用が残りにくいのが特徴です。ただし、夜中に何度も目が覚める中途覚醒型不眠や早朝覚醒には効果が薄いことがあります。

ルネスタは副作用が少なめ

GABA受容体の特定部位に結合して脳の活動を抑え、自然な眠りを誘導します。

睡眠の質を改善し、途中で目が覚めることを防ぎます。自然な眠りを促すため、翌朝の眠気や倦怠感が少ないとされています。

従来のベンゾジアゼピン系睡眠薬と比べて、依存性や筋弛緩作用が少ないとされています。

デパスは不安を和らげて眠りをサポートする

デパスは、不安や緊張を和らげる抗不安薬として広く使われてきた薬で、睡眠障害の治療にも用いられます。

主な作用は、不安や緊張を抑えることで、心身の緊張やストレスを緩和し、リラックスした状態を促します。

抗不安作用により、心を落ち着かせることで入眠を助けます。筋肉を緩める効果があり、肩こりや筋肉の緊張を伴う症状にも用いられることがあります。

短時間作用型の薬で、服用後30分〜1時間以内に効果を発揮します。

ハルシオンは作用が強い睡眠薬

ハルシオンは、短時間作用型のベンゾジアゼピン系睡眠薬で、不眠症の治療に使用されます。

寝つきが悪い人に対して、非常に強力な睡眠誘導作用を示します。また、少量でも効果を感じやすいとされています。

長期にわたる大量服用や、他の薬物との併用などにより、依存性や耐性が生じる可能性が高いという点が大きな特徴です。

安易な個人輸入は危険!法律で禁止されている

睡眠薬は、日本国内で規制が厳しい医薬品の一つです。そのため、一部の例外を除き、睡眠薬を個人輸入することは基本的にできません。

睡眠薬の多くは、依存性や乱用のリスクがあるため、向精神薬として規制されています。「麻薬及び向精神薬取締法」より、特定の薬剤の輸入や所持が厳しく制限されています。

海外で市販されている睡眠薬やサプリメントには、日本国内で使用が認められていない成分が含まれている場合があります。このような薬を輸入すると、違法薬物の所持や使用とみなされることがあります。

メラトニンのサプリなどは医薬品ではなく健康補助食品として扱われるため、医師の処方箋がなくても個人輸入可能です。自己使用目的の場合、医薬品の輸入は1ヶ月分までとされています。それ以上の数量は、税関で没収される場合があります。

薬剤によっては、輸入時に「薬監証明書」の取得が必要となることがあります。

また、個人輸入した医薬品は、偽造品や粗悪品の可能性があり、健康被害が発生しても自己責任となります。

その他睡眠を改善する市販薬等

睡眠改善薬として市販されているもの以外にも、睡眠をサポートする商品があります。

種類 メリット デメリット
漢方薬 自然由来、根本的な体質改善、依存性が少ない 効果が出るまで時間がかかる、個人差が大きい
サプリメント 手軽、食品由来成分で副作用が少ない、補助的に使える 即効性が低い、他の薬との相互作用に注意が必要
ハーブティー リラックス効果が高い、習慣化しやすい、香りで癒される 効果が穏やか、香りや味の好みが分かれる

漢方薬

漢方薬は、複数の生薬(自然由来の薬草や鉱物)を組み合わせた処方です。睡眠改善に用いられる漢方薬には、不眠の原因に合わせた処方が選ばれます。

以下は、睡眠改善に使われる代表的な漢方薬とその主な成分です。

漢方薬名 主な成分 主な作用 適応症例
抑肝散(よくかんさん) チョウトウコウ、サイコ、センキュウなど 神経の高ぶりを抑える イライラや不安による不眠、ストレスの多い人に適応
加味逍遙散(かみしょうようさん) サイコ、ビャクジュツ、ボタンピなど 自律神経を整える 更年期障害や冷え性、不安からくる不眠
桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう) 桂皮、竜骨、牡蛎など 鎮静作用を持ち、気持ちを落ち着かせる 不安感や興奮状態による不眠
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう) サイコ、竜骨、牡蛎など 神経過敏を抑える効果 神経が過敏になって眠れないケース

化学的な成分を避けたい人に適しており、体への負担が少ないとされています。不眠だけでなく、冷え性やストレス、不安など、全身のバランスを整えることで間接的に睡眠を改善します。

即効性は低く、長期的な使用が必要です。

サプリは睡眠をサポートする健康食品

市販の睡眠改善サプリには、以下のような成分が含まれています。

成分 特徴 主な効果
メラトニン 睡眠ホルモン「メラトニン」と同様の作用を持つ成分 入眠をスムーズにし、体内時計を整える
L-テアニン 緑茶に含まれるアミノ酸で、リラックス効果がある 精神を落ち着け、不安や緊張を軽減する
GABA 脳内の神経伝達物質で、興奮を抑える働きがある リラックス効果を高め、入眠しやすくする
トリプトファン セロトニン(幸せホルモン)やメラトニンの材料となるアミノ酸 睡眠リズムを整える効果が期待される
マグネシウム 筋肉の緊張を緩め、リラックスを促進 体のリラックスを助け、安眠をサポート
バレリアン(セイヨウカノコソウ) 不眠症改善に効果があるといわれるハーブの一種 神経の高ぶりを抑え、自然な眠りをサポート

ドラッグストアや通販で簡単に購入でき、処方箋が不要です。リラックス成分やホルモンバランスを整える成分が含まれており、睡眠改善のサポートをしてくれます。

ただし、睡眠薬ほどの強力な効果はなく、軽度の睡眠トラブルに適しているものです。

ハーブティーはストレスを和らげ気持ちを穏やかにする

ハーブティーは、睡眠をサポートするハーブを使った飲み物です。以下は代表的な成分です。

ハーブ名 特徴 主な効果
カモミール 鎮静作用があるハーブで、古くからリラックス効果を持つハーブとして知られる ストレスを緩和し、安眠を促す
バレリアンルート 「天然の睡眠薬」と呼ばれるほど睡眠改善に有名なハーブ 入眠をスムーズにし、眠りの質を高める
ラベンダー 香り成分にリラックス効果がある 緊張をほぐし、気分を穏やかにする
パッションフラワー 鎮静作用が強く、不安感や興奮状態を抑える 不安やストレスを軽減し、自然な睡眠を促進する
レモンバーム 甘い柑橘系の香りを持ち、不安を軽減する作用がある リラックス効果を促進し、軽い不眠症状に対応する

ハーブの香りや温かい飲み物としての作用で、リラックスしやすくなりますし、副作用が少なく、身体への負担がほとんどないのも大きなメリットです。

睡眠薬の副作用

睡眠薬は不眠症の症状を改善するために有効ですが、どんな薬にも副作用のリスクがあります。特に、種類や使用状況によって副作用の程度や出現率が異なります。

ここでは、市販薬と処方薬の副作用をそれぞれ詳しく解説し、その原因や対処法についても説明します。

市販睡眠薬の主な副作用

市販されている睡眠薬は、比較的安全性が高いとされていますが、使用する際には注意すべき副作用がいくつかあります。

市販の睡眠薬は、主に抗ヒスタミン薬が有効成分として含まれています。この成分は、眠気を引き起こす効果がありますが、同時に以下のような副作用を伴うことがあります。

  • 眠気の持ち越し:翌朝になっても眠気やだるさが残る。特に、高齢者や服用量が多い場合に起こりやすい
  • 頭痛・倦怠感:抗ヒスタミン成分の作用で、血流や脳の神経系に影響を与えることが原因
  • めまい・ふらつき血圧がやや低下することや、脳への刺激が抑えられるため
  • 口の渇き・喉の違和感:抗ヒスタミン薬には唾液の分泌を抑える作用があるため、口が乾燥しやすくなる
  • 便秘・排尿困難:自律神経への影響で、消化器系や排尿に問題が生じる場合がある
  • 動悸・血圧の変化:一部の人では心拍数が上がったり、不整脈を感じたりすることがある

服用量を守っていても副作用が頻繁に起こる場合は、一度医師の診察を受けた方が良いでしょう。

処方睡眠薬の主な副作用

処方薬の睡眠薬は、作用の仕方や強さによって副作用の種類が異なります。主に、次の3つの系統で説明します。

系統 副作用
ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系 ・持ち越し効果:翌朝まで薬の効果が残り、集中力低下や眠気が持続。長時間作用型の薬(例:ロラメット)で起きやすい
・依存性:長期使用により身体的・精神的依存が生じるリスクがある。特に、急に服用をやめると離脱症状(不安、不眠、震え)が出ることがある
・記憶障害(健忘):睡眠中に記憶が途切れる「前向性健忘」が発生することがある。例:服用後に行動しても翌日その記憶がない。
・転倒や骨折:特に高齢者では、筋弛緩作用により足元がふらつき、転倒や骨折のリスクが高まります。
メラトニン受容体作動薬 ・頭痛
・倦怠感
・めまい
オレキシン受容体拮抗薬 ・日中の眠気:薬の効果が残ると起こる
・悪夢:睡眠の質に影響を与える可能性がある
・倦怠感:翌日に疲労感を覚える場合がある

副作用の出方には個人差があります。

全般的な副作用

処方薬・市販薬問わず、睡眠薬全般に共通する副作用として以下が挙げられます。

  • 逆説反応:睡眠薬によって、かえって不安や興奮、幻覚が生じることが稀にある。高齢者や薬に敏感な人に多い。
  • 睡眠関連行動:服用後の記憶がないまま起こる行動(例:夢遊病のように歩き回る、無意識に食事をするなど)。非ベンゾジアゼピン系で発生することがある
  • 悪夢や生々しい夢:一部の睡眠薬で、夢の内容が鮮明になることがあり、これが不快な悪夢となる場合もある

副作用は必ず起きるものではないですが、人によってはかなり不快に感じることもあります。副作用が辛い場合はいったんお薬をお休みして、他の方法を試してみることも検討してください。

副作用を避けるための注意点

睡眠薬全般の副作用を避けるために、以下のことに注意してください。

  • 服用タイミングを守る
  • 連続して使用しない
  • 他の薬との相互作用に注意
  • アルコールと一緒に飲まない

とにかく大切なのは、医師の指示に従うことです。市販薬なら、説明書通りに服用することが大切です。

特に、持病がある人や他に薬を飲んでいる人は注意が必要です。必ず医師の指示通りに服用しましょう。

睡眠薬って実際眠れるの?使ってみた人の体験談

睡眠薬を使用するにあたって、本当に効くのか、副作用は辛くないのかなど、気になることも多いと思います。

そこで、実際に使ってみた人の口コミや体験談を集めてみました。

ポジティブな体験談

睡眠薬によってよく眠れるようになったという声が多くみられました。

  • 【睡眠薬】
  • 数年前から不眠で悩んでいたが医師に相談して適切な睡眠薬を処方してもらい、生活が大きく改善した。翌日も頭がクリアで、仕事に支障なく過ごせている
  • 最初は抵抗があったが、一時的な使用で睡眠リズムが整い、今では自然に眠れるようになった
  • 不安で眠れない日が続いていましたが、睡眠薬のおかげで安定した睡眠が取れるようになり、精神的にも落ち着いた
  • 薬を飲むとすっと眠れるようになり、翌日の体調も良くなった

処方薬は即効性があり、特に効果を実感しやすいのがポイントです。長期使用による依存性に注意が必要ですが、医師の指示通りに使用すれば問題ないでしょう。

【睡眠改善薬】

  • 出張前日など、特別な時だけ使用していますが、程よい眠気が来て助かっている
  • 生薬系の睡眠改善薬を使っていますが、自然な眠気で朝もすっきりする
  • 入眠までの時間が短くなり、朝まで起きずに眠れた

市販薬は軽度の不眠や一時的なストレスによる不眠に効果を感じやすいものなので、翌日のことを考えて緊張で眠れないなど、緊急時の「お守り」として使っている人が多く見受けられました。

ネガティブな体験談

【睡眠薬】

  • 最初は効果がありましたが、徐々に効きが悪くなり、量を増やす必要があった。医師と相談しながら、今は減薬に取り組んでいる
  • 朝起きた時の頭重感が気になり、仕事に影響が出そうな日は使用を控えている
  • 最初は効いていたけど、薬がないと眠れなくなり、量が増えてしまった
  • 無意識で食事をしたり、深夜に電話をしていた

処方薬は確実に眠れる効果がある一方で、依存性のリスクを指摘する声もあり、継続使用には慎重な管理が必要です。

【睡眠改善薬】

  • 効果は感じられたが、翌朝まで眠気が残り、運転に不安を感じた
  • 一時的な不眠には効果がありましたが、慢性的な不眠には物足りないと感じた

睡眠改善薬はあくまでも一時的な睡眠の改善にしか使えないものなので、効果を実感できない場合は医師の診察を受けた方が良いでしょう。

これって不眠症?眠れない症状はこんなにある

不眠症は、一時的なストレスや環境の変化で起こる一過性の睡眠障害とは異なり、長期間にわたり睡眠の質や量に問題が生じる状態を指します。

不眠症にはいくつかのタイプがあり、それぞれ原因や特徴が異なります。以下に、代表的な不眠症の種類と詳細を解説します。

入眠障害型不眠症は寝つきが悪い

寝つきが悪く、なかなか眠れない状態です。

【症状】

  • 布団に入ってから30分~1時間以上眠れない
  • 寝ようと思うと、考え事や心配ごとで頭がさえてしまう
  • 「眠れない」という焦りがさらに入眠を妨げる

【かかりやすい人】

  • 強いストレスや緊張を抱えている人
  • 夜型の生活を送っている人
  • 不規則な睡眠スケジュールの人
  • 心配性や不安障害を持っている人
  • カフェインを夕方以降に摂取している人もなりやすい

主な原因はストレス、緊張、生活リズムの乱れなどで、睡眠前のスマホやテレビの使用で脳が興奮状態になることも問題です。

中途覚醒型不眠症は夜中に何度も目が覚める

眠りについてからも、夜中に何度も目が覚めてしまい、再び眠りにつけない状態です。

【症状】

  • 寝つけても途中で何度も目が覚める
  • 目が覚めた後、再び眠りにつくのに時間がかかる
  • 夜中に目覚めたときに「眠れない」と焦ることが多い

【かかりやすい人】

  • 中高年層(加齢により眠りが浅くなる傾向がある)
  • トイレに頻繁に行く人(夜間頻尿のある人)
  • 精神的ストレスや不安、うつ病を抱える人
  • 飲酒が習慣化している人(アルコールによる睡眠の質の低下)

加齢、ストレス、うつ病によって起こりやすいですが、睡眠時無呼吸症候群や頻尿などの身体的要因も考えられます。

早朝覚醒型不眠症はもっと寝たいのに早く目が覚めてしまう

朝、まだ眠りたいのに目が覚めてしまい、その後再び眠れない状態です。

【症状】

  • 朝方、予定より2~3時間も早く目が覚めてしまい、その後眠れない
  • 起きた後も疲れが取れず、日中の集中力が低下する

【かかりやすい人】

  • 高齢者(体内時計が変化し、早朝に目覚めやすい)
  • うつ病の初期症状として現れることが多い
  • 強いストレスや不安を抱える人

うつ病や精神的ストレスが引き金になることが多いですが、加齢や生活リズムの乱れも原因となります。

熟眠障害型不眠症はたくさん寝ても眠りが浅い

眠りが浅く、熟睡できない状態です。

【症状】

  • 7~8時間しっかり寝ても、朝起きたときに疲労感が残る
  • 昼間に強い眠気や集中力の低下を感じる
  • 寝ても回復感が得られない

【かかりやすい人】

  • ストレスや疲労が慢性化している人
  • 睡眠時無呼吸症候群や不安障害を抱える人
  • 生活習慣が乱れている人(夜更かしや運動不足)

ストレスや精神的な問題が大きな原因ですが、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠の質を低下させる身体的要因や、騒音、明るい部屋など睡眠環境の悪さも大きな要因となります。

不眠症かなと思ったときのチェック項目

以下の項目に複数当てはまる場合、不眠症の可能性があります。

【睡眠に関するチェック項目】

  • 寝つきが悪い:ベッドに入ってから、なかなか眠れない
  • 夜中に何度も目が覚める:深夜に一度目が覚めてしまうと、なかなか寝つけない
  • 朝早く目が覚めてしまう:起きたくなくても、早朝に目が覚めてしまう
  • 眠りが浅く、熟睡できない:眠っている感じがしない
  • 昼間に眠気が強く、集中できない:日中の活動に支障が出る

【日常生活に関するチェック項目】

  • ストレスを感じている:仕事や人間関係などで悩みを抱えている
  • 不規則な生活:寝る時間や起きる時間がバラバラ
  • カフェインやアルコールの過剰摂取:寝る前にコーヒーやお酒を飲んでいる
  • 運動不足:身体を動かす機会が少ない
  • 寝室環境が悪い:騒音、明るすぎる、寝具が合わないなど

【心身の不調に関するチェック項目】

  • うつ症状:気分が落ち込む、何もやる気が出ない
  • 不安感:不安や心配事が常にあり、リラックスできない
  • 身体の痛み:頭痛、肩こり、腰痛など
  • 消化器症状:食欲不振、便秘、下痢など

これらの項目に当てはまることが多い場合は、不眠症の可能性があります。一度、医師に相談し、睡眠の状態を詳しく診てもらいましょう。

不眠の症状が1ヶ月以上続いているなら医師に相談する

不眠の症状が1ヶ月以上続く場合は、生活習慣の改善だけでは解決しない可能性があります。日中の活動や生活に支障が出ている場合も、早めの受診が必要です。

医師は、不眠の原因が睡眠時無呼吸症候群などの身体的な問題なのか、ストレスやうつ病精神的な問題なのかを特定します。

その上で、必要に応じて睡眠薬や漢方薬などの治療薬が処方してくれますので、あなたにあった改善法を考えてくれます。

不眠症を放置すると、慢性的な疲労やうつ病、心血管疾患などのリスクが高まるため、1ヶ月以上症状が改善されないなら、早めに受診しましょう。

不眠症で悩んだときは原因によって受診する科が違う

不眠症はさまざまな原因で引き起こされるため、適切な診療科を選ぶことが重要です。

不眠の背景には身体的な問題や精神的なストレス、生活習慣の乱れが絡み合っていることが多く、症状に応じた専門的な診察が必要になります。

自分でもよく原因がわからない時はまず内科

不眠症の原因がはっきりしない場合、身体的な問題を確認するために最初の窓口として内科を受診するのが適しています。

【こんな症状には内科】

  • 痛みや動悸、夜間頻尿など、身体的な不調が原因で眠れない
  • 最近の生活習慣や健康状態に変化があり、不眠と関係があるかもしれない
  • 具体的な原因がわからず、漠然とした不眠に悩んでいる

内科では、生活習慣病やホルモンバランスの乱れなど、身体的な疾患が不眠の原因かどうかを判断してもらえます。必要に応じて、心療内科や睡眠外来など他の専門科を紹介されることもあります。

ストレスや不安で眠れない時は心療内科

ストレスや不安、職場や家庭での問題など、心理的な要因が原因で眠れない場合、心療内科が適切です。

【こんな症状には心療内科】

  • ストレスや緊張が強く、気持ちが落ち着かず寝つけない
  • 不安感が強く、夜になると心配ごとが頭から離れない
  • ストレスを感じると胃痛や頭痛などの身体症状も出る

心療内科では、不眠に影響を与えている心身のストレスを総合的に評価し、薬物療法や認知行動療法(CBT)などで治療を進めます。

不安や抑鬱状態が強くなっている時は精神科

不安感や抑うつ感が強く、不眠がそれらの症状の一部として現れている場合、精神科での診察が適しています。

【こんな症状には精神科】

  • 日中も気分が落ち込み、やる気が出ない
  • 強い不安感やパニック発作がある
  • 何も楽しいと思えない、生きるのがつらいと感じることが増えた
  • 寝ることに対する恐怖や過剰なこだわりがある

うつ病や不安障害などが原因で不眠が生じている場合、抗うつ薬や抗不安薬の処方を受けられることがあります。

睡眠時無呼吸症候群などの症状があれば睡眠専門外来

睡眠専門外来は、特に身体的な要因が原因で起こる不眠症に対応します。

【こんな症状には睡眠専門外来】

  • 夜中に呼吸が止まる、いびきがひどいと言われる
  • 朝起きたときに強い疲労感がある
  • 寝ている間に足がむずむずして眠れない
  • 睡眠障害が慢性化しており、他の治療でも改善しない

睡眠時無呼吸症候群や周期性四肢運動障害(PLMD)、レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)など、専門的な診断と治療が必要な場合に適しています。

ポリソムノグラフィー(睡眠検査)など、専門的な検査を受けられるのが特徴です。

信頼できるかかりつけ医がいればその人に相談するのもあり

長年付き合いのあるかかりつけ医がいる場合は、まず相談してみるのも良い方法です。

【こんな場合におすすめ】

  • どの診療科に行けばいいかわからない
  • 長期間、体調不良が続いており、かかりつけ医に状況を相談したい
  • 医療機関に行くのに抵抗があり、まずは知り合いの医師に聞いてみたい

患者のこれまでの健康状態や生活背景を理解しているため、適切な診療科を紹介してもらいやすくなります。

受診前に確認すべきポイント

医師に正確な症状を伝えるためにも、不眠の経過をメモしておきます。

  • 不眠の頻度やタイミング
  • 寝つきが悪い、夜中に目が覚めるなどの具体的な症状
  • 日中の体調や気分の変化

など。

その他、睡眠環境の状況や仕事や家庭でのストレスの有無などを伝えます。他の疾患や服用薬が不眠の原因となっている場合があるため、薬を常用している人はお薬手帳を持っていくと良いでしょう。

そもそもどうして不眠症になるのか?不眠の原因

不眠症は、多くの人が経験する睡眠の問題ですが、その原因はさまざまで、単一の要因だけでなく、複数の要因が絡み合うことがよくあります。

不眠を引き起こす原因を理解することで、適切な対策を立てることが可能です。

ストレスや不安などの心理的要因

ストレスや不安は、不眠症の最も一般的な原因のひとつです。心理的な緊張状態が続くと、脳が興奮しやすくなり、リラックスできずに眠れなくなることがあります。

「眠れない」という焦りやプレッシャーもストレスとなり、不眠がさらに悪化する悪循環に陥ることがあります。

  • 職場や学校でのプレッシャー:人間関係、試験や締め切りなど
  • 家庭内でのトラブル:育児や介護、夫婦間の問題
  • 大きなライフイベント:転職、引っ越し、病気、離婚など

ストレスや不安を感じると、自律神経の「交感神経」が優位になり、体が緊張状態になります。この状態では心拍数が上がり、脳が覚醒状態になるため、寝つきが悪くなったり、途中で目が覚めやすくなります。

日中は問題解決に取り組み、夜はリラックスする時間を設けるなどメリハリをつけることが大切です。必要に応じて心療内科やカウンセリングを利用しましょう。

体のかゆみや痛みなどの身体的要因

身体的な不快感や慢性的な痛みは、眠りを妨げる大きな要因となります。特に、寝る姿勢を保つことが難しいような痛みがある場合、不眠に直結します。

また、内臓疾患やホルモンの変化が影響することもあります。

  • 痛み:腰痛、関節痛、頭痛、筋肉痛など
  • かゆみ:アトピー性皮膚炎、湿疹、乾燥肌などによるもの
  • その他の症状:夜間頻尿、胃酸の逆流、呼吸困難(睡眠時無呼吸症候群など)

痛みやかゆみにより、寝つきが悪くなるほか、睡眠中に何度も目が覚める「中途覚醒」が増えます。また、慢性的な疾患を抱えている場合、痛みや不快感が持続しているため、熟眠感が得られないこともあります。

睡眠薬の前に、鎮痛剤、かゆみ止め、疾患の治療など適切な治療を行うことが必要です。

寝具や騒音、光などの環境的要因

睡眠環境の質は、睡眠の深さや快適さに直接影響します。寝具が合わなかったり、騒音や光の刺激が強いと、眠りにつきにくくなります。

  • 寝具の問題:マットレスが硬すぎる・柔らかすぎる、枕が合わない
  • 騒音:交通音、隣人の物音、ペットの鳴き声など
  • 光:カーテンから漏れる外の明かり、寝室の電子機器の光など
  • 温度や湿度:暑すぎる、寒すぎる、湿度が高い

人間の体は暗く静かな環境で、快適な温度と湿度の中で眠るように進化しています。これらが妨げられると、入眠しにくくなり、眠りが浅くなる原因になります。

  • 環境的な要因なら、すぐにでも対処できます。
  • 遮光カーテンやアイマスクで光を遮断する
  • 静音対策(耳栓やホワイトノイズマシンの利用)を行う
  • 季節に合わせた寝具やパジャマを用意し、快適な室温・湿度を保つ

ホルモンバランスの乱れ

睡眠には、体内時計を調節するホルモン「メラトニン」や、ストレスを軽減する「セロトニン」が深く関わっています。これらのホルモンバランスが崩れると、不眠が引き起こされます。

  • 更年期障害によるホルモン変化(女性ホルモンの減少)
  • 妊娠や出産後のホルモン変動
  • 加齢によるメラトニン分泌の減少(特に中高年以降)

ホルモンの分泌が乱れると、睡眠リズムを調整する働きが低下し、寝つきや睡眠の深さに影響を与えます。特に更年期や加齢によるホルモン変動は、熟睡感の低下につながります。

ホルモンバランスの乱れは原因が人それぞれですが、まずは規則正しい生活習慣を心がけることが何より大切です。

必要に応じて医師に相談し、ホルモン補充療法(HRT)を検討しましょう。

不規則な生活で体内時計が乱れている

人間の体は、24時間の周期でリズムを刻む「体内時計」によって睡眠と覚醒のタイミングが調整されています。不規則な生活は、この体内時計を乱し、眠りにつきにくくなる原因になります。

  • 夜勤やシフト制の仕事で昼夜逆転している
  • 寝る時間が日によってバラバラで一定していない
  • 夜更かしや長時間のスマホ・パソコンを使用している

不規則な生活により、体内時計をリセットする役割を持つ「朝日を浴びる」時間が不規則になり、メラトニンの分泌が正常に働かなくなります。その結果、寝つきが悪くなったり、睡眠リズムが崩れます。

毎朝同じ時間に起床し、朝日を浴びる習慣をつけるとともに、就寝前のブルーライト(スマホやPC)を避けるようにすること、生活リズムを整えるために、就寝・起床時間を一定に保つことが大切です。

市販の睡眠薬に関する大きな誤解

市販の睡眠薬に関する誤解やデマは、インターネット上などで多く見られます。これらの誤った情報に振り回されず、安全に睡眠薬を利用するためには、正しい知識を持つことが重要です。

市販の睡眠薬を飲めば誰でも簡単に眠れる

市販の睡眠薬(睡眠改善薬)は、軽度の不眠や一時的な睡眠トラブルを対象としており、すべての不眠に効果があるわけではありません。

市販薬の多くは、抗ヒスタミン成分(例: ジフェンヒドラミン)が含まれており、眠気を誘う効果がありますが、慢性的な不眠症や中〜重度の睡眠障害には十分な効果が期待できない場合があります。

不眠は原因に応じた対応が必要です。ストレス、不安、環境要因、体内時計の乱れなど、不眠の原因によっては市販薬では対応できず、医療機関の受診が適切です。

市販の睡眠薬は安全だから副作用はない

市販薬でも副作用のリスクは存在します。代表的な副作用は以下の通りです。

  • 翌朝まで眠気が残り、集中力が低下する「翌日への持ち越し効果」がある
  • 口の渇き、倦怠感、頭痛などの軽度な副作用
  • 高齢者ではふらつきや転倒のリスクが増加することがある

また、用量を守らない場合や長期的に服用した場合、依存や耐性が形成される可能性もあります。薬のラベルや添付文書をよく読み、医師や薬剤師に相談することが重要です。

睡眠薬を使うと依存性が必ず起きる

市販の睡眠薬(抗ヒスタミン系)の依存性は、処方薬の一部に見られるようなベンゾジアゼピン系睡眠薬の依存性ほど強くありません。しかし、連続使用や過量摂取は避けるべきです。

市販薬で依存性が問題になるケースは稀ですが、「薬を飲まないと眠れない」という心理的依存に陥る可能性があります。

連続して使用する場合は数日に留め、効果が薄い場合や症状が続く場合は医療機関を受診しましょう。

市販の睡眠薬なら依存性がない

市販の睡眠薬は一般的に依存性が低いとされていますが、依存性が完全にないとは言い切れません。

市販の睡眠薬の多くに含まれるのは、抗ヒスタミン成分です。この成分は、本来アレルギーや風邪薬に使われる成分で、眠気を誘う副作用を利用しています。

抗ヒスタミン成分自体は身体的な依存性は低いとされていますが、長期使用や乱用は心理的依存を引き起こす可能性があります。

特に、短期間で効果を感じた人は、繰り返し使う傾向が強くなりがちです。これにより、薬がないと不安を感じ、眠れなくなることがあります。

市販の睡眠薬と処方薬は同じ効果がある

市販の睡眠薬と病院で処方される睡眠薬には大きな違いがあります。

  • 市販薬:抗ヒスタミン成分が中心で、軽度の不眠に対して一時的な改善を目的としている
  • 処方薬:ベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系、メラトニン受容体作動薬など、多様な薬があり、不眠症のタイプや重症度に応じた治療が可能

成分が全く違いますので、症状や体質に合ったものを使うことが大切です。

市販の睡眠薬は誰でも使える

市販の睡眠薬は一部の人には適さない場合があります。以下の条件に該当する場合、使用してもよいか、医師に相談が必要です。

  • 高齢者
  • 妊娠中・授乳中
  • 他の薬を服用中の人
  • 持病がある人

また、15歳未満の子供には使えません。子どもの不眠の原因は環境や生活習慣によることが多く、薬を使わずに対応することが基本です。

睡眠薬に頼らずに眠れるようになるための対策

自然な方法で睡眠の質を高めるには、生活習慣や環境を整えることが非常に重要です。

就寝時間と起床時間を一定にする

規則正しい睡眠リズムを作ることが、自然な眠りを促します。特に起床時間を一定に保つことが大切です。

体内時計(サーカディアンリズム)は約24時間周期で動いており、不規則な生活を続けるとリズムが乱れて不眠を招きます。

【体内時計をリセットする方法】

  • 休日でも平日と同じ時間に起きる
  • 夜眠れない日があっても、無理に寝坊せずに決まった時間に起床する
  • 夜更かしをしないよう、夜の活動を制限する

特に、休日の起床時間が重要です。普段眠れないと、休みの日に寝溜めをしようと考えがちですが、人間は寝溜めができない生き物です。

曜日にかかわらず、一定の時間に起きることで、自然な眠りのリズムを作っていけます。

日中にしっかり光を浴びる

朝起きたら太陽の光を浴びることで、体内時計がリセットされ、夜に眠りやすくなります。

また、日中に十分な太陽光を浴びないと、体内時計が正確にリセットされず、夜に眠気を感じにくくなることがあります。

日中の明るい光は、睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌を調整し、昼間に覚醒し、夜に眠気を感じるように促します。

朝起きたら窓を開けて太陽光を浴びましょう。可能なら外に出て散歩をするのもおすすめです。

日中に外に出る機会が少ない人は、窓際で作業したり、光療法用のランプを使うのも有効です。

軽い運動を習慣にする

適度な運動はストレスを軽減し、深い眠り(ノンレム睡眠)を促進します。ただし、激しい運動は逆効果になる場合があるため注意が必要です。

ウォーキングやヨガ、ストレッチなど、あまり激しくない運動を1日30分程度行うことを目標としてみましょう。30分、連続しなくても大丈夫です。朝、通勤時に15分のウォーキング、寝る前に15分のストレッチなど、1日のスケジュールに合わせて時間をとってみてください。

運動は、寝る直前ではなく、少なくとも寝る3時間前までに運動を済ませるのが理想です。寝る直前ですと、かえって目が覚めてしまう場合がありますので注意してください。

デスクワークが多い人は、日中の合間に軽く体を動かす時間を作りましょう。

運動の例
 

  • 椅子に座った状態で、足を交互に持ち上げるようにして足踏みする
  • 両手を頭上に伸ばし、指を組んで体を上に引き上げる
  • 椅子に座ったまま、両手を後ろに組んで胸を開くように肩甲骨を寄せ、10~15秒キープ
  • 両手を胸の前で合わせ、押し合うように力を入れる(5秒間)

短い時間でも、体を動かすことを意識してみてください。

昼寝の仕方を工夫する

昼寝は短時間であれば、夜の睡眠を妨げることなく、日中の眠気をリセットできます。逆に長すぎる昼寝は夜の入眠を妨げるため注意が必要です。

昼寝は15~20分以内に収める「パワーナップ」と呼ばれる方法を試してみましょう。

短い時間の睡眠で、脳の疲労をリセットし、目覚めた後の作業効率を向上させます。この時間内なら、深い眠り(=ノンレム睡眠)に入る前に目覚めることができるため、起きた後に眠気やだるさを感じにくいです。

昼寝の時間帯は午後の早い時間(13:00〜15:00)が最適です。昼食後の自然な眠気が出やすい時間帯にパワーナップを取ることで、リズムが崩れにくくなります。この時間帯を過ぎて昼寝をすると、夜の睡眠に影響が出ることがあります。

昼寝をするときは、光や音を遮断できる環境が理想的です。アイマスクや耳栓を使うと、さらにリラックスできます。

カフェイン・アルコールの摂取を控える

  • 就寝前6時間以降のコーヒー、紅茶、緑茶などの摂取を控える
  • 夜のお酒の量を減らし、飲酒後の就寝を避けるよう心がける

カフェインは覚醒作用があり、摂取後6時間以上体内に残るため、就寝前の摂取は不眠の原因になります。

アルコールは一時的に眠気を誘いますが、寝酒は睡眠の質を悪化させ、途中で目覚めやすくなることがあります。利尿作用によってトイレが近くなることも、夜目覚める原因となります。

寝室を快適な空間にして睡眠の質を高める

心地よい寝室環境を整えることで、深く眠ることができます。特に寝具の質や室温、遮光などに配慮しましょう。

室温は、夏は高めで冬は低めとなるものの概ね13~29℃の範囲に収まるようにし、寝具の内部は33℃前後になるよう調整することが推奨されています。また、湿度については、40~60%程度が良いとされています。

引用元:温度、湿度と睡眠 | NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター

  • 温度:寝室の温度は20℃前後、湿度は40~60%を目安にする
  • 光:遮光カーテンを使い、暗い環境を作る。必要に応じてアイマスクを使用
  • 騒音:耳栓やホワイトノイズを利用して静かな環境を作る
  • 寝具:自分に合ったマットレスや枕を選ぶ

電気代を気にしてエアコンを止めてしまう人もいますが、良い眠りのためには適温・適湿を保つことが何より重要です。エアコンや加湿器を上手に利用して、温度管理をしましょう。

ぬるめのお湯に浸かり副交感神経を優位にする

ぬるめのお湯に浸かると、体全体がじんわりと温まり、血流が促進されます。入浴後、一度上がった体温がゆっくりと下がる過程で「副交感神経」が優位になり、体が眠りの準備を始めます。

熱いお湯ではなく、38~40℃程度のぬるめのお湯に浸かるのがポイントです。41℃以上の熱いお湯は交感神経を刺激し、かえって覚醒状態になることがあります。

就寝の1~2時間前に15~20分程度、リラックスしながらお湯に浸かりましょう。入浴後は体を冷やさないように気をつけてください。

また、お湯に浸かると浮力の効果で筋肉や関節への負担が減少し、身体全体がリラックスできる状態になります。筋肉の凝りもほぐれますので、疲労回復にもおすすめです。

アロマテラピーを取り入れてリラックスする

精油(エッセンシャルオイル)の香りはリラックス効果を高め、自律神経を整えることで入眠をサポートします。

おすすめの精油
 

  • ラベンダー・アングスティフォリア
  • オレンジスイート
  • カモミール・ローマン
  • ベルガモット

など。

特別な器具は必要ありません。枕元に数滴垂らしたティッシュを置くだけで十分です。

バスオイルとして使用し、入浴時に香りを楽しむのもおすすめです。

寝る前のルーティンを作り脳に寝る準備をさせる

毎日寝る前に決まったルーティンを行うことで「、もうすぐ寝る時間だ」と脳が認識し、スムーズな入眠につながります。

おすすめルーティン
 

  • 就寝1時間前にスマホを置いてストレッチや読書をする
  • 照明を暗めに設定し、リラックスする時間を設ける
  • ハーブティーでリラックスする
  • 夜のスキンケアや軽い日記をつけるのも効果的

寝る前の1〜2時間はブルーライトを避ける

スマホやパソコンの画面から出るブルーライトは、可視光線の中で最も波長が短く、高エネルギーを持つ青色光のことで、メラトニンの分泌を抑制し、入眠を妨げます。

自然光や蛍光灯、LED、スマートフォン、パソコン、テレビなどのディスプレイから発せられています。

ブルーライトは目の網膜にある「光感受性細胞」を刺激します。この刺激により、脳内の松果体(しょうかたい)がメラトニンの分泌を抑制し、眠気が遠のいてしまいます。

寝る1~2時間前には、スマホやPCの使用を控え、どうしても使用する場合は、ブルーライトカットのフィルターや眼鏡を活用しましょう。

マインドフルネスや瞑想で心を落ち着ける

マインドフルネス: 今この瞬間に意識を向け、過去や未来への思考を手放し、心を静める練習
瞑想: 呼吸や体の感覚に集中することで、心の中の雑念を手放し、リラクゼーションを深める手法

どちらもストレスを軽減し、自律神経を整える効果があります。

あまり難しく考える必要はありません。次の方法を試してみてください。

  • 静かな場所に座るか、横になる
  • 目を閉じてリラックスする
  • 自然な呼吸を感じる(吸う息、吐く息に注意を向ける)
  • 呼吸の速さや深さはそのままでOK
  • 雑念が浮かんでも気にせず、呼吸に意識を戻す

5分〜10分続けるだけでも効果的なので、寝る前の時間をマインドフルネスや瞑想に当ててみてください。瞑想はリラックスすることが目的なので、無理に「無心」になろうとしないことも大切です。

温かい飲み物にも心を落ち着かせる効果がある

寝る前に温かい飲み物を摂取することで、リラックスしやすい状態を作ります。ただし、カフェインが含まれないものを選びましょう。

おすすめの飲み物
 

  • ハーブティー(カモミール、レモンバームなど)
  • ホットミルクにハチミツを加える
  • 白湯やデカフェの飲み物もおすすめ

睡眠薬の市販に関するよくある質問やその回答(Q&A)

睡眠薬に関して、よくある疑問や質問とその回答についてまとめました。

市販の睡眠薬と病院で処方される睡眠薬の違いは何ですか?

市販薬は軽度の不眠や一時的な寝つきの悪さを改善することを目的としており、効果が穏やかで依存性が低いのが特徴です。主に抗ヒスタミン成分(ジフェンヒドラミンなど)が使用されています。

一方、処方薬は医師の診断のもと処方され、不眠の程度や原因に合わせて選ばれます。作用の強さや種類が幅広く、依存性のリスクがあるため、適切な服用管理が必要です。

市販の睡眠薬はどこで購入できますか?

市販の睡眠薬は、以下の場所で購入できます。

  • ドラッグストア・薬局:薬剤師または登録販売者がいる店舗で購入可能
  • オンラインストア:認可を受けた薬局の通販サイトで購入可能。ただし、一部の商品は購入時に薬剤師との相談が必要な場合がある

購入時には、商品の成分や効果を確認することが大切です。

市販睡眠薬は誰でも使えますか?

市販の睡眠薬は安全性が高いとはいえ、すべての人が使えるわけではありません。以下のような場合は使用を控えるか、事前に医師や薬剤師に相談してください。

  • 妊娠中・授乳中の方
  • 15歳未満の子ども
  • 高齢者や持病がある方(特に肝臓や腎臓疾患)
  • 他の薬を服用している方

睡眠薬は保険適用されますか?

処方薬の睡眠薬は医療機関を受診し、医師から処方される場合に限り保険が適用されます。そのため、自己負担額は薬の価格の3割(または条件に応じて1割~2割)です。

一方、市販の睡眠薬は保険適用外となり、全額自己負担となります。

睡眠薬の効果はいつ頃から現れますか?

市販の睡眠薬は、服用後約30分~1時間程度で効果が現れる場合が多いです。ただし、個人差があり、効果の感じ方には違いがあります。

注意点として、効果が弱いからといって追加で服用するのは避けてください。過剰摂取は副作用や健康リスクを引き起こす可能性があります。

市販の睡眠薬の副作用にはどのようなものがありますか?

市販の睡眠薬には、副作用が出る場合があります。代表的なものは以下の通りです。

  • 眠気やだるさが翌日まで残る(持ち越し効果)
  • 頭痛やめまい
  • 口の渇きや喉の違和感
  • 動悸や血圧の変化

特に高齢者は副作用が出やすいため、慎重に使用してください。副作用が強い場合はすぐに使用を中止し、医師に相談しましょう。

睡眠薬は飲み続けても効果はありますか?

市販の睡眠薬は短期間の使用を前提としており、連続して使用すると効果が弱まることがあります。依存や体への負担を防ぐためにも、連続して使用しないようにしましょう。

不眠が長期間続く場合は、市販薬ではなく医師に相談し、根本的な原因にアプローチすることが重要です。

睡眠薬には依存性がありますか?

市販の睡眠薬は依存性が低いとされていますが、連続使用や過剰摂取によって依存につながる可能性があります。

また、自己判断で服用を続けると、薬に頼らないと眠れないという「心理的依存」に陥る場合もあります。

処方薬に比べて依存リスクは低いものの、使用の際は用法・用量を守り、長期間の連続使用は避けるようにしましょう。

子どもでも使える睡眠薬はありますか?

市販の睡眠薬は、一般的に15歳未満の子どもには使用できません。子どもの不眠症状には、生活習慣の見直しや、ストレスの原因を解消することが重要です。

子ども向けには睡眠導入剤ではなく、漢方薬や医師の診断に基づく治療が推奨されます。特に、子どもの睡眠問題は成長や発達に影響を及ぼす可能性があるため、自己判断ではなく専門家に相談してください。

睡眠薬は市販されていない!自分で購入できるのは睡眠改善薬だけ

睡眠薬は医師の処方箋が必要な薬であり、市販されているのは睡眠改善薬です。質の高い睡眠を取れるようにサポートするものであり、眠れない症状を根本から治すものではありません。

今回は、おすすめの睡眠改善薬をご紹介していますが、あくまでも一時的な使用にとどめてください。数日使っても改善されない場合は、医師の診察を受けた方が良いでしょう。

医師の診察を受けると、症状に合わせた睡眠薬を処方してもらえます。睡眠薬は副作用が起きることもありますので、必ず医師の指示通りに、正しく服用することが大切です。

睡眠薬の個人輸入は危険ですので、絶対にしないようにしてください。

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